ロイヤルオペラハウスの小劇場でモーツァルト『羊飼いの王様 Il re pastore』を観る。これはモーツァルトが19歳の時に書いた小規模な「オペラっぽい」作品(厳密にはオペラではない)で、でも室内オペラ風の演出。話の筋は

マケドニアの王アレッサンドロがシドンの町を占領し、羊飼いアミンタをその町の王にし、先王の娘タミーリをよと結婚させようとする。しかしアミンタには約束の人エリーザがいる。アミンタは王位と愛のジレンマに立たされるが、訳を知ったアレッサンドロの配慮で解決する。

ってな感じで、まあ物語としては弱いんだが、若いモーツァルトの粋がつまった歌が14曲。滅多なことでは生で聴くことはない音楽なので、とても貴重な機会である。歌手はロイヤルオペラの若手養成プログラムの優等生たち、演奏はイングリッシュ・バロック・ソリスツ(EBS)、という小規模オペラにはもってこいの陣容。特にEBSの演奏には大満足でしたよ。ちょっと指揮者(これも若手)の解釈が僕の好みでは無かったのと、アレッサンドロ役が喉の不調により口パク(舞台袖で代役が歌う)だったのが残念だったけど。あと、演出が説教くさくてちとうざったい。
もともと嫁と行くはずだったんだが、帰国が予定より遅れているのでHちゃんが代役で来てくれてた。「嫁のいぬ間にプロジェクト」番外編か。彼女曰く、小劇場だと出演者に近いしセットも小さいから、歌に集中できてオペラの聴きどころ(例えば多重唱の妙とか)がよく分かると。確かにそういうところはあるかもなあ。
ともかくあの演奏の質で学生チケット3000円ほど、というのはとても幸せな気分になるんである。