またぞろロンドンはバービカンへ。マリス・ヤンソンス(今年のウィーン・ニューイヤーコンサートで振っていた)指揮ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団ショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード」。世界のオケでウィーン、ベルリンの次あたりにランクされるコンセルトヘボウを聴きに行くのはロンドンで4シーズン連続である。そのうち3回がショスタコだ・・・(5、7、8番)。

第7番は第1楽章の「ドイツ軍のレニングラード侵攻」に始まり最終第4楽章の「勝利」に終わるという、プロパガンダ的というか、政治的というか、ともかく強力な音楽である。先日聴いた10番のような「深み」はないんだけどね。

ヤンソンスの解釈は通常に比べ(彼の20年近く前の録音に比べても)遅めのテンポで、重厚な音楽をさらに重くしてくる。でも無理な大音量を要求するとか、テンポを揺らすとか、そういうギミックは一切無く、要所要所で見せる鋭い(?)指揮ぶりは期待に違わずテンションが高いもの。遅いテンポに関わらずダレることなく、全体像を無理なく、わかりやすく提示できていたと思う。

惜しむらくは、オケの状態がイマイチだったこと。弦楽器はきれいなんだけど、なんだか(コンセルトヘボウに期待するほどには)音の粒がそろっていない感があり、木管が時々ミスを出す。何より、オケ全体としてヤンソンスに比べて「燃焼度」が低いというか、何となく指揮者との一体感が感じられない。やっぱり7番みたいにストーリー的な曲は、演奏者全体が感情移入しないと、迫力が欠けてしまうんだよなあ。昨シーズンに同じヤンソンス+コンセルトヘボウで聴いたときはそういう印象は無かったんだけど。

しかし、7番を生で聴くのは初めてだったし、ヤンソンスの指揮ぶりは曲のとてもよい解説になっていて、見ていて楽しかったし、満足行くコンサートでありました。