Yちゃんはフローリストだからして、昨日バレエの最初の作品を観ながら何か気の利いたこと(←アホ。ただのカッコつけ)を言えないかと考えてたんだけど、すぐに「ああ、ある意味生け花(フラワー・アレンジメント?)そのものじゃん」と思った。
世界トップクラスのバレエダンサーの動きを見ていて感じ、とりわけ強い印象を残すのは、制御(control)と自然性(spontaneity 「のびのびとしたさま」みたいな意味もある)との関係性の妙である。もっと言うと、両者の「緊張」の発露。ダンサーの体は隅々まで鍛え上げられ、動作には身体すべての筋肉が無駄なくコントロールされ、それが決して「機械的」にならず、「しなやかさ」「自然さ」ひいては美しさとなって認識される。
これは優れた生け花の作品を見たときの印象と全く似ている。すべての部分に意味があり、無駄が無く、でも説教臭さは微塵も感じられず、むしろ木の枝や花が(「自然」を思わせるような形で)いきいきと提示される。
休憩の時、Yちゃんに「フラワー・アレンジメントだと思って見てみたら?」と言ったんだけど、後で彼女の話を聞くと、僕の言いたいことは分かってくれたみたいだった。オペラハウスに行くのも、現代バレエを観るのも初めてだったみたいだけど、フローリストとしての活動に少しでも参考になるといいなあ(差し出がましいですね、ずびばぜん)。
しかし考えてみれば、「制御と自然性との緊張」をもって良しとするのは、僕にとってはとても多くのアート作品に言える、要するに僕の「好み」なのかも知らん。バレエに限らず、優れた音楽家が演奏する音楽にはやはりそういう側面があるし、僕が(んで、恐らく多くの人が)感動するのは感情に任せた演奏でも、マシンのような演奏でもなく、圧倒的なテクニックと緻密な計算に裏付けされたごく自然な感情表現である・・・。んー、なんか違うか。まだ自分自身よく分かっていないので、もっと考えてみる必要があるなあ。