一週間前の日曜日だけど、ロンドンはバービカンでやっている荒木経惟の特別展に行った。なんでも、荒木の個展としては日本も含めて最大規模のショーなんだと。確かに、彼のデビューから今に至るまでの作品を一堂に展示していて、ものすごい見応え。新聞のリビューには、オープニングで本人が来ていたことが書いてあって「会場の女子に声をかけ、写真を撮りまくり、周囲の2倍の早さで動き回る65歳の小さな男」ってな紹介のされ方だった(笑)。(高校時代によく見かけたけど、この人が凄いのは、一人でいるときも、マスコミに出ているときも、同じキャラをやっているところである。)作品に対しては総じてとても好意的だった。

しかし、やっぱり荒木の紹介のされ方は「エロ」中心なのね。僕は、この人のエロ写真は他の写真家に比べてあんまり好きじゃないんだけど(エロ写真自体はむろん大好きだが)。僕は、アラーキーの作品では、ポートレートと東京の風景が一貫して好みである。対象とのビミョーな距離感が何とも言えないんだよなあ。

嫁は、アラーキーの写真の評価は彼のキャラあってのもので、例えば本人が死んで何年も経ったら評価されないんじゃないか、と言ってた。僕はいくつかの作品群はかなり高く評価され続けると思うんだが。どうだろうね。

ちなみに、700ページにも及ぶカタログを奮発して購入。写真集は欲しかったけど持っていなかったので、ちょうどよかった。その中の本人のインタビューで「10人のお気に入り(favourite)の写真家」ちゅうのがあって、アジェやらマン・レイに並んで木村伊兵衛を挙げていたんだが、そこのコメントが「奴は俺のマネしてたね He used to imitate me.」だって。他の冗談には日本のことを知らない人のために結構丁寧に注釈がついてるのに、ここだけスルーだったので、笑った。