今回のコンサートは、バレンボイム指揮のベルリンフィル定期。ヴェーベルン「コンチェルト」、ストラヴィンスキー詩編交響曲」、チャイコフスキー5番、というバリエーションに富んだプログラム。前から3列目の左端でちとオケに近すぎたけど、ベルリンの上手さを堪能することはできた。9月から11月までほとんどオーケストラのコンサートに行かなかったかわりに、ここ2週間程でフィルハーモニア、ロンドン交響楽団(LSO)と立て続けに聴いているので、比較が容易でおもしろい。

バレンボイムのチャイ5は、うーん、ワグネリアン。テンポを遅くして、重厚なリズムで曲全体としてのうねりを大きく作って行くんだが、「ロシア的」なテイストは(多分)皆無。でも、首尾一貫した解釈なので、やたら説得的である。それにしても、バレンボイムの指揮ぶりは相変わらずカッコいいぜ。うなり声もなかなか。最終楽章が始め、指揮棒を振りかざして「フン!」と喝を入れてから間髪入れず弦楽器の第一音が鳴るんだが、鳥肌ものだよ。